Apple は 2026年8月21日、Apple マップ上に広告を表示する「Ads on Apple Maps」の提供開始を Apple Ads の公式ページで告知しました。対象は米国とカナダに拠点を持つ広告主だけで、日本の事業者は 2026年10月時点で出稿できません。一方で、広告の前提になっている拠点情報の登録(Apple Business。旧 Apple Business Connect)は日本でも使えます。この記事は、東京で店舗・医院・事務所を運営するオーナーに向けて、Apple の公式ページと公式ユーザガイドに書かれている仕様だけを整理し、今の時点でできる準備をまとめたものです。

本文の数字は、Apple Ads の公式ページ、Apple Business ユーザガイド、Google ビジネス プロフィール ヘルプ、東京名鑑の掲載データにあるものだけを使っています。Apple が示す数字は米国とカナダの Apple マップの集計で、日本の実測ではない点に注意してください。仕様は変わることがあるため、最終的には各出典の原文で確かめてください。Google マップ側の整備についてはMEO(Google マップ対策)のページにまとめています。

Apple マップの広告とは何か(公式ページの説明)

Apple Ads の「News and Updates」ページには、2026年3月24日付で「Get ready for ads on Apple Maps」、2026年8月21日付で「Now route customers to your business with ads on Apple Maps」という告知が載っています。3月に予告し、8月に提供を始めた流れです。

公式ページ「Ads on Apple Maps」によると、広告が出る場所は 2 つあります。1 つは利用者が検索を始める前の「Suggested Places(おすすめの場所)」、もう 1 つは検索したあとの検索結果の上部です。ヘルプ「Create ads」は、どちらの枠に出るかを広告主は選べず、ビジネスのカテゴリと利用者の検索内容に応じて自動で決まると書いています。

広告の素材は、写真を最大 3枚か、ロゴを 1枚のどちらかです。両方を入れることはできません。写真を 3枚入れると、検索結果の広告の 3 つの形式(写真 3枚・写真 1枚・文字だけ)がすべて使えるようになります。任意で宣伝文を添えられますが、絵文字などの特殊文字は使えません。

利用者側の見え方は、プライバシーのページに説明があります。Apple マップの広告にはすべて「Ad」の表示と専用のアイコンが付き、利用者はそれをタップして広告の表示に使われた情報を見られます。Apple マップでは「パーソナライズされた広告」の設定は使われず、検索語・表示中の地図の範囲・端末のおおよその位置といった、そのセッション内の文脈だけで広告が選ばれます。年齢や性別はターゲティングに使われません。

項目 公式ページ・ヘルプの記載 出典
提供地域 米国(米領サモアと北マリアナ諸島を除く)とカナダ。これらの国に拠点と組織の住所がある広告主だけが対象 ヘルプ「Promote your business on Maps」
告知の時期 2026年3月24日に予告、2026年8月21日に提供開始を告知 Apple Ads「News and Updates」
掲載面 検索前の「Suggested Places」と、検索後の検索結果の上部。どちらに出るかは自動で決まる 「Ads on Apple Maps」「Create ads」
素材 写真 最大 3枚、またはロゴ 1枚。宣伝文は任意で、絵文字は不可 ヘルプ「Create ads」
予算 月ごとの上限額を設定し、キャンペーンの開始と停止はいつでもできる ヘルプ「Promote your business on Maps」
新規の特典 対象の新規広告主に 150 米ドルのクレジット(有効なクレジットカードが必要・条件あり) 「Ads on Apple Maps」
広告の表示 すべての広告に「Ad」マークと専用アイコン。セッション内の文脈だけで選ばれ、年齢・性別は使わない 「Ads on Apple Maps and privacy」

Apple が示す数字と、その読み方

公式ページ「Ads on Apple Maps」は 3 つの数字を掲げています。いずれも脚注に出どころと期間が書かれていて、すべて米国とカナダの数字です。日本語版のページ「Apple マップでの広告」にも同じ数字と脚注があります。

公式ページの数字 脚注にある出どころと期間
毎月 10億件以上のビジネスに関連する検索 Apple マップ、米国およびカナダ、2025年1月〜12月
ビジネス関連の検索の 2件に1件(50%)が利用者の行動につながる Apple マップ、米国およびカナダ、2025年3月〜2026年3月。「行動」は経路検索・共有・ウェブサイト訪問など、場所カードの操作全般
マップ利用者の 57% が Z 世代とミレニアル世代 GWI Core Study、米国およびカナダ、18歳以上、2025年第1四半期〜第4四半期。Z 世代は 18〜28歳、ミレニアル世代は 29〜42歳

読み方で注意したい点が 2 つあります。第一に、これらは広告商品を案内するページに載っている Apple 自身の集計と、Apple が引用した GWI の調査で、ローカル検索の第三者調査ではありません。第二に、対象は米国とカナダの Apple マップで、日本の Apple マップの利用状況を示す数字ではありません。日本の Apple マップの利用者数や検索数は、今回開いた Apple の公式ページには書かれていませんでした。

広告を出せない業種がある(広告ガイドライン)

ヘルプ「Create ads」は、広告の内容が Apple Business の写真ガイドラインと Apple Advertising Policies に従う必要があるとしたうえで、主な禁止事項を挙げています。東京の事業者にとって見逃せないのは、住宅関連サービスが広告の対象外である点です。

  • 配管・電気・鍵・空調・害虫駆除・屋根・総合請負といった住宅関連サービス(home services)の広告は出せない
  • 武器・弾薬、保釈金サービス、暗号資産 ATM、政治の候補者・政党・争点の広告は出せない
  • 攻撃的・暴力的・性的に露骨な内容、規制薬物に関する内容は不可
  • 特典の内容は利用者に明確でなければならず、料金がかかるものを無料と見せるような表示は不可
  • 低品質・歪み・ぼやけ・判読できない素材は不可

したがって、工事・リフォーム会社は、米国・カナダの事業者であっても現在のガイドラインでは Apple マップの広告を使えません。日本で広告が提供される場合に同じ条件になるかは、公式ページに記載がありません。

日本の事業者が今できること|Apple Business に拠点を登録する

ヘルプ「Promote your business on Maps」は、広告を始める手順の 1 番目に「まず Apple Business に登録する」を置いています。Apple Business は、事業者が Apple のサービス上での自社の見え方を管理するための仕組みです。ユーザガイド「Sign up and verify your organization」によると、旧 Apple Business Connect で使っていた個人の Apple アカウントでもサインインでき、そのまま続ける場合はブランドと拠点の管理機能だけが使えます。ユーザガイド「Intro to Apple Business」によると 200 を超える国と地域で提供されていて、「Apple Business feature availability」の一覧では、日本で使える機能に「Brand and Location Management(ブランドと拠点の管理)」が含まれています。同じ一覧で「Ads on Maps」が載っているのは米国とカナダだけです。

拠点を登録すると、Apple マップの「場所カード」を自分で整えられます。ユーザガイドによると、場所カードはマップだけでなく Siri・カレンダー・メッセージ・Spotlight 検索にも表示されます。手順は次のとおりです。

  1. business.apple.com で組織を作る。組織名、ウェブサイト(任意。入れると確認が早まることがある)、所在地、担当者の本名、電話番号を入れ、メールと電話に届く確認コードを入力する(ユーザガイド「Sign up and verify your organization」)。
  2. 60日以内に組織の確認を終える。確認には 2 つの方法が必要で、ビジネス ID(D-U-N-S 番号など)、ドメインの DNS 認証、公的書類(営業許可証、賃貸契約書、公共料金の請求書など)から選ぶ。審査は最長で 5営業日かかり、混雑時はさらにかかる。
  3. 「Brands > Locations」から拠点を追加する。名称、住所、地図上のピン(入口の位置)、主カテゴリ、営業状態、電話番号、ウェブサイト、営業時間を入れる(ユーザガイド「Add a single location」)。
  4. すでに Apple マップに載っている拠点なら、Apple が記録している電話番号への通話で 4桁のコードを受け取る電話確認が使えることがある。
  5. 写真を追加する。Apple がすべての写真を審査し、最長で 3営業日かかる。1 拠点あたり 100枚まで(ユーザガイド「Photo and text standards and guidelines」)。

登録後は「Insights」で、検索結果で自店がタップされた回数、検索の種類(名称・ブランドでの検索か、カテゴリでの検索か)、場所カードの表示回数、経路検索・ウェブサイト・電話・共有・写真のタップ数を見られます。データは拠点の確認から最長 1時間後に出始め、日・週・月で集計され、CSV でダウンロードできます(ユーザガイド「Use insights for a single location」)。

注意したいのは、Apple が利用者からの報告をもとに場所カードを直すことがある点です。ユーザガイド「Maintain location information accuracy」によると、営業中と表示されているのに閉まっていた場合、利用者は場所カードから Apple に報告でき、Apple が名称・営業状態・営業時間を編集すると組織にメールが届きます。編集を受け入れるか、別の内容に直して再審査(最長 5営業日)を求めるかは事業者が選べます。営業時間を放置すると、Apple 側で書き換えられる仕組みがあるということです。Google 側の営業時間のルールは営業時間の公式ルールの記事にまとめています。

Google ビジネスプロフィールとの違い(確認の方法)

多くの東京の事業者がすでに持っている Google ビジネスプロフィールと比べると、確認の単位と方法が違います。Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google でビジネスのオーナー確認を行う」によると、Google の確認方法は Google が自動で決め、電話・SMS・メール・ライブビデオ通話・ハガキなどがあります。ハガキのコードは通常 14日以内に届き、30日で期限が切れ、手順を終えたあとの審査に 5営業日ほどかかります。Apple Business では、書類やドメインで行う「組織」の確認と、既存拠点なら電話で 4桁のコードを受け取る「拠点」の確認が分かれています。

項目 Google ビジネスプロフィール Apple Business
確認の単位 ビジネス プロフィールごと 組織(60日以内に 2 つの方法で確認)と拠点
方法の決まり方 Google が自動で決める。変更はできない 事業者が選ぶ(ビジネス ID・ドメインの DNS 認証・公的書類)。既存拠点は電話確認が出ることがある
審査の目安 手順を終えたあと 5営業日ほど 最長 5営業日。混雑時はさらにかかる
郵送による確認 ハガキ。コードは通常 14日以内に届き、30日で失効。5桁のコードを入力 ユーザガイドに記載なし
情報の訂正 ヘルプ 7107242 の範囲では記載なし 利用者の報告をもとに Apple が名称・営業状態・営業時間を編集し、組織にメールで通知

Google 側の確認の手順そのものはオーナー確認の記事に詳しく書いています。

東京の実態|名鑑データで見る整備状況

東京名鑑の掲載データ(取得 2026年7月)によると、東京の治療院(整体・鍼灸院・接骨院)は 3531院が掲載され、そのうち Google ビジネスプロフィールのオーナー確認済みは 2707院(76.7%)です。写真が 1枚以下の院は 631院(17.9%)、日曜に営業時間の登録があるのは 1834院(51.9%)でした。同じデータで、工事・リフォームは 4415社のうちオーナー確認済みが 1429社(32.4%)にとどまります。掲載データは Google 等の公開情報をもとにした名鑑の件数であり、実際の事業者数ではありません。また名鑑は Apple マップへの登録状況を集計していないため、Apple 側の整備率は分かりません(データについて)。

Google 側で名称・住所・電話・営業時間・写真が整っている事業者は、同じ情報を Apple Business に登録できます。治療院の掲載一覧は東京名鑑の治療院ページ、掲載の申し込みは治療院の事業者の方へから確認できます。

今週できる準備のチェックリスト

  • Apple マップで自店を検索し、場所カードの名称・住所・電話・営業時間が今の内容と合っているか確かめる。
  • business.apple.com で組織を作り、60日以内に確認を終える。公的書類(営業許可証・賃貸契約書・公共料金の請求書など)を手元に用意する。
  • 拠点の入口の位置にピンを合わせる。ユーザガイドは、Hybrid か Satellite 表示に切り替えると入口が見やすいとしている。
  • 写真はガイドラインに沿ったものを選ぶ。文字入り・透かし入り・QR コード・AI 生成の画像は使えない。
  • Apple からの変更通知のメールを受け取れるよう、apple.com ドメインからのメールを迷惑メールに振り分けない。
  • Google ビジネスプロフィール側の情報と食い違いがないか、MEO 自己診断チェックリストで見直す。

注意点と関係する規制

Apple Business の写真と文章には基準があります。ユーザガイド「Photo and text standards and guidelines」によると、使えないのは、文字を重ねた画像、透かし、QR コード、コラージュ、衛星画像、フィルターで不自然になった画像、AI で生成した画像、日付や時刻のスタンプ入りの写真、ストック写真などです。写っている人全員の許可があること、商標など第三者の権利を侵さないことも求められます。

広告の表示内容については、ヘルプ「Create ads」が、特典は利用者に明確でなければならず、料金がかかるものを無料と見せてはならないとしています。日本国内で消費者向けに表示を行う場合は、消費者庁が所管する景品表示法の対象になります。消費者庁の説明では、景品表示法は商品やサービスの品質・内容・価格等を偽って表示することを規制する法律です。Apple マップに限らず、場所カードや写真に載せる割引・特典の表示は、同じ基準で確かめてください。

よくある質問

日本の店舗でも Apple マップに広告を出せますか

2026年10月時点では出せません。Apple Ads の公式ページは、Apple マップの広告は米国とカナダで利用でき、これらの国でビジネスを展開している広告主だけが対象だと明記しています。日本での提供時期の記載はありません。

Apple Business Connect のアカウントはそのまま使えますか

使えます。ユーザガイドによると、Apple Business Connect で使っていた個人の Apple アカウントで Apple Business にサインインでき、そのまま続ける場合はブランドと拠点の管理機能が使えます。仕事用の Managed Apple Account を作れば、Apple Business の全機能が使えます。

Apple マップの情報が勝手に変わることはありますか

あります。利用者が場所カードから、営業中と表示されているのに閉まっていたなどと報告すると、Apple が審査して名称・営業状態・営業時間を編集することがあり、その際は組織にメールが届きます。編集を受け入れるか、別の内容に直して再審査を求めるかを選べます。

Google と Apple のどちらを先に整えるべきですか

東京名鑑の掲載データでは、治療院のオーナー確認済みは 76.7% で、Google 側の確認が済んでいない事業者がまだあります。Google ビジネスプロフィールの確認がまだなら、そちらを先に済ませ、同じ情報を Apple Business に登録する順番が手戻りの少ない進め方です。東京名鑑には無料・登録不要のAI 検索診断もあります。個別の相談は無料相談から受け付けています。

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出典・参考情報

最終更新: 2026年10月29日。本記事は出典欄の公式情報(確認日時点)に基づきます。本文の件数・割合は、東京名鑑の掲載データ(取得 2026年7月、2026年6月〜9月)を集計したものです。掲載データは Google 等の公開情報をもとにしており、実際の事業者数とは異なります。Google の仕様・ポリシーは変わることがあります。実施の前に最新の公式情報をご確認ください。本記事は特定の事業者を推奨するものではなく、成果を保証するものでもありません。